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ゴールズワージと人
大学への提出書類をどうしても5月中に仕上げたくて、どこにも行かず、ネットせずパソコンとにらめっこしていました。でもちょこまかしている様子はフェイスブックに掲載していますので、さがしてみてくださいね。
で、今日はゴールズワージと人です。

ゴールズワージが、選択し、自らが影響を受ける環境というのには、そこに住む人も含まれいる。彼は、日本での制作に対して、「大内村で多くの仕事をしたが、そこには人が住んでいた跡があっ たり、炭焼きの小屋が残っていた。人が住んでいたということは 重要なこと。北極やオーストラリアなどの原野の前人未踏の地で 働くことは例外的なことで、前人未踏の地はある意味でそのまま にしてほっておかれるものではないか。アートにとって重要な人 間の暮らしというものは、何百年の歴史を持っている。特にスコ ットランドの場合、人間が風景に含まれている。人間が風景に関 わってきたことを見せられるような場所で作ることに意味がある。」と述べている。すなわち、ゴールズワージが制作に選ぶ場所は「人と自然が関わってる場所」ということがいえる。
彼にとって自然もつ生から死へそして生という循環の持つエネルギーとともに、その場所に人が関わることによって生まれるエネルギーを感じ取ることが重要なのだろう。なぜなら、彼の住むスコットランドは、土地に秘められた多く伝説があり、それを民族の誇りとして、厳しいに自然に怯むことなく、その力に逆らわず根気強く寄り添い生きる人がいる。彼にとっては人そのものも自然環境の一部分なのかもしれない。
その彼が日本においても故郷の人々に繋がる自然と人との関わりを見出している。
「スコットランドで仕事に出かけると き、大内山を思うことがあります。 ・・ペンポイントが木や岩が大内山 の木や岩を思い出されるのかもしれ ませんが、私にとってはそれ以上のことなのです。それぞれの土 地で働く人々、自然にしっかりと根付いた暮らしのリズムを感じ ることが遠く離れた二つの場所と人々を結びつけるように思われる」
 彼にとって、制作の際に素材を得る自然のみならず、その自然とともに生きる村の人々の暮らしが彼の仕事の大きな支えとなっていたことが理解できる。彼は、人が自然と暮らしている場所にこだわることによって、「自然とともに生きる意味」を問いかけているのではないだろうか。
 この異国の自然に働きかけ、自然と共に生きることを探ることは、ゴールズワージにとって、故郷スコットランドの自然・生活を見つめ直すことに繋がるようである。
「自然、食べ物、ユーモア・・・それらすべてによって醸し出され る雰囲気の中で生活し、仕事をする。そうした経験を積むこと日 本に強く影響される。それが仕事にどのような影響を及ぼしてい るか説明するのは難しいが、直感的に日本の作品はここに故郷を 見出すように感じる」
 日本の自然と調和して、それを慈しんで生きる昔からの生活は彼の中で自らの地の伝統をみつめ、自然と共に生きるスコットランドの人々の生活に繋がり、より一層故郷の土地に秘めるエネルギーを鮮明に感じることができるのかもしれない。
また、ゴールズワージは、人が自然とともに生きる上でのよい面ばかりでなく、そのためにおこる様々な悲劇・破壊に対して目を背けてはいない。そのゴールズワージと環境破壊との接点を最も鮮明に浮かび上がらせた場所、それが足尾である。
この足尾は日本の公害被害の原点という所で、昭和30年代まで排ガスや流出する鉱毒の被害を受けてきた。そして、今なおその傷跡を深く抱える場所である。
 ゴールズワージは、この足尾の様子を見て、「病んでいる風景だ」とつぶやいたという。*29そして、この足尾の渡良瀬川の支流で制作を行っている。
彼は、ここで、「ウッド、ヘルドロック」という新しいタイプの作品を作っている。日本名「木に保持された岩」である。自然の大切さを訴えるのであれば、見た目に美しい作品を作ればことたりるが、彼は単なるロマン主義者ではなく、その現実から目を背けることなしに作品を作っている。ゴールズワージは、「日本の山で植物が岩を維持し山肌を守ってることを学んだ。」と述べている。この作品によって山と樹の関係、一見何気なく、だが実際にはきわめて緊張した関係を示しているのである。この関係を、ワージは足尾の荒れ果てた山肌から読みとったと考える。
 また、ワージはさらにもう一つの関係を読みとっている。それは、人が犯した環境破壊という過ちを、人が関わることで山を蘇らせていることである。ゴールズワージは、環境保全という人間の自然への働きかけが、自然の再生エネルギーを呼び起こしているに気づいたのではないかと考える。そして、人間が起こしてしまった環境破壊を人間が働きかけることによって自然の持つ命のサイクルを再生できると作品から語っている。それは富士における柿田川のトラスト運動であったり、山村の100年の森づくり運動においても、作家が人が関わる自然の「再生」を見出したのかもしれない。
ゴールズワージは、自然の素材の持つ魅力(エネルギー)を感じ取る素晴らしい力を持っており、それを自然のもつ「時=循環」の流れに逆らうことなく表現を通して探求している。そして、人として自ら自然に働きかけることで「自然との共生」の道を見出そうとしてるのかもしれない。
# by kazukunfamily | 2012-05-27 22:01 | 博士課程 | Trackback | Comments(0)
日本美術教育学会愛知大会での発表
8月の18日19日に名古屋の愛知芸術文化センターで日本美術教育学会愛知大会が開催されます。
ひさしぶりに学会発表をしようとおもいます。
内容は,
アートNOPによる国際交流壁画共同制作プロジェクトの教育的効果についての研究
です。
概要は
経済や社会・文化のグローバル化が進展し、異文化との共存や持続可能な社会の構築に向けて国際的な協働が求められるとともに、人材育成面の競争も国際的に高まっていることから、学校教育において国際理解教育を充実させることが重要な課題の一つとなっている。そして、国際理解教育の一つの手だてとして国際的な学校間の交流も注目されている。現在、公立学校が外国の学校と交流を図ろうとする場合、市や町の行政が提携している姉妹都市の学校との交流校に指定されるか、イギリスのブリティッシュ・カウンシルが行っている「学校間国際交流プロジェクト=ジョイント・カリキュラム・プロジェクト」等に参加し、実践的な英語力を高める手紙交流等の活動をする場合が考えられる。しかし、このような支援を受けて国際的な学校間交流を実践している学校はごく一部である。さらに、新学習指導要領において、総合的な時間が減少し、小学校に教科担任制が推進されている中では時間的・教育予算的に制約があり外国の交流校を学校単位で探すのは至難の業である。例え、見つかったとしても、海外校と交流実践の交渉ができる英語力を持った教員はごく少数である。
したがって、日本と海外の学校の間に立って教育実践のコーディネートしてくれる機関が必要となる。その役割を果たし、2011年からはその「アートマイル国際交流壁画共同制作プロジェクト International Intercultural Mural Exchange (IIME)」(以下「アートマイル」と表記)の活動が、文部科学省後援事業となったアートNPOに「ジャパンアートマイル:Japan Art Mile」(以下「JAM」と表記)がある。
 このアートNPOが推進する国際交流壁画共同制作プロジェクトは、従来の国際交流がメールや手紙等の文字や映像関連のメディアを活用した実践だったのに対して、壁画という実物を子ども達が地域学習や環境・平和学習等で見いだした地域課題をテーマに日本と海外学校が協働で作り出すところに特徴がある。しかし、言葉と文化・距離・時差の壁を乗り越え、インターネット等を活用して外国学校と共通のテーマで交流学習を行い、学習成果として1枚の壁画を共同制作するこのプロジェクトは、公立学校の児童・教師にとって難しい活動と思われる。そこで、JAMは、初めて参加する教師でも容易に取り組めるように、交流相手探し・交流手段(翻訳)・スケジュールの共有・輸送手段に関する様々なサポートを行い、子どもの目線を大切にした国際交流を可能にしている。今後、このようなアートNPOがコーディネーター役となり、海外のパートナー校を紹介したり、交流学習の授業カリキュラムモデルを提示したり、・相手と1対1で交流できる手だてを提供したり・情報交換のトラブルにも対応してくれることで、公立学校の外国学校との交流を容易にしてくれる思われる。
 そこで、アートマイルに2010年に参加し、カナダの小学校と壁画の共同制作をおこなった実践を例に、アートNOPによる外国学校との共同制作が国際理解教育と美術教育においてどのような教育的効果をもたらすのか明らかにする。そして、その考察を通して、表現活動を軸にした学校間の国際交流にあけるアートNPOの役割と今後の課題点を明らかにする。

近くの方,聞きにきてくださいね。
友達の小崎(ザッキー)氏も,シンポジュウムにでますよ。楽しみです。
# by kazukunfamily | 2012-05-24 22:10 | 学会の活動紹介 | Trackback | Comments(0)
ゴールズワージと水。(アンディ・ゴールズワージその2)
ゴールズワージと水。
ゴールズワージの制作の条件の中に海、湖、そしてそれに繋がる川、その源になる雪や氷が示されている。これらに共通する要素、それは水である。
実際に日本の制作においても、三重県においては大内村川から紀伊長島の伊勢の海へ。福井県では九頭竜川からダム湖へ、足尾においては、渡良瀬川からダム湖へ、さらに富士においては富士五湖にわき出す湧水と水という要素で繋がっている。
では、この水という要素はゴールズワージにどのような影響を与えているのだろうか。
①自然の素材についての新たな発見のきっかけとなる。
彼が日本の紅葉の色を理解しようとしている時に、水は大きく影響している。
「紅葉の葉に命を与えるのは水だとわかったので、滝の水を使った り、水に浸して色を浮かび上がらせようと試みました。そうした らその色の素晴らしかったこと。色あせた紅葉の葉を水に落とし た時の色の鮮やかさ、強烈さは、まるで魔法のようです。こうし て紅葉の葉と水の関係が理解できたのです。」
彼は水に葉を浸すことで本当の紅葉の赤を発見する。水は彼の自然の素材の持つ本当の姿を見出す媒体になっているのである。そして、自然の隠れた本質を理解する手助けになっている。
②作品に動きとはかなさを与える。
 彼の作品の中には滝口等の流れの中でその形を、水流の持つ渦等の形にそって変化してゆく作品がある。水は彼の作品に動きを与え、そして、新しく美しい形と動きを彼に見せる。まるで、自然の手によってかけた魔法のように。ただ、その形は数秒と持たない、はかない時を駆け抜ける。よってその美しさが強調される。
 また、土を水でねり石に付けそれが乾くことによりはがれてゆくことで自然の時の変化を見せる作品がある。この滝口の作品とは違うゆったりとした時の流れを演出しているのも土に含まれた水である。彼は、自然の水に作品をゆだね、自然を理解しようとしてる。
③水流が自然の持つ破壊的エネルギーをかいま見せる。
彼は、水により上流から運ばれ、そして割れてしまった石に着目して作品を作っている。森から生まれた水が集まりそれが堅い岩をも鋭く砕く力を持っている。水は、自然が穏やかな面だけでなく破壊的な面を持つことを作家にかいま見せる。
④自然の水の循環がいのちの循環のプロセスの表現に繋がる。
山の森等に降った雪、雨やそこで生まれた氷はやがて水流や湧水となり生き物や土・石・葉や枝とともに湖
や海にたどり着く。そしてそこで蒸発し雲となり山へと降り注ぐ。
水はこの自然界の循環のプロセスの主役であり、作家にその循環のプロセスをわかりやすく提示している。ゴールズワージは、それを雪のドローイングとして表現している。その作品では、土や血を混ぜた雪からとけた水が、まるで紙の上にできた起伏の上川のように流れていく。作家は、この作品で循環のプロセスを表現しているのである。それは、水あってのことである。
以上の様なことから、ゴールズワージにとって、自然の持つエネルギーや循環プロセス等を理解するための制作という形の探求活動において水というのは、様々な発見や表現への重要な要素だといえる。端的にいえば水がゴールズワージの探求活動を誘発しているといえる。

(水の流れはアートをさそいますね。筆者撮影 )
# by kazukunfamily | 2012-05-22 20:47 | 博士課程 | Trackback | Comments(0)
晴れてよかった日食観察
4月からいろいろ準備してきた日食観察。
一番の不安は天気でしたが,校長先生の晴れ女ぶりが発揮され,みごと快晴でした。
全校で観察会をひらきました。
運動場へでたみると,幼稚園の壁の木漏れ日が日食の太陽の形になっていました。

いよいよ観察


感想の絵はあじがありました。


子ども達は日食を個々のイメージで絵にしています。

# by kazukunfamily | 2012-05-21 19:58 | 担任より一言 | Trackback | Comments(0)
ゴールズワージと自然環境との共感
ゴールズワージは、1956年イングランドのチェシー生まれで、リチャードロングやナッシュといった日本でも馴染みの深い自然派の第一世代を継ぐ、第2世代の旗手とみなされ、世界各地でも個展が開催されるなど注目を集めている作家である。       
 ゴールズワージは、自然の中に手以外、ほとんど道具も持たずに入り込み、木の葉や土、小石、茎、鳥のはね、雪などの自然の素材を使い、自らのいる場所や素材の持つ特性を生かしながら、自然界に一時的に新たな秩序を創造し、これを写真や紙にドローイングしたりして記録して発表する。彼の自然との対応を大切にした制作姿勢は、イギリスの自然に対する伝統的な愛着を脈々と受け継いでいるといわれる。
その彼が、1987年以来日本に数回来日し、三重県の大内山村・紀伊長島町、福井県和泉村、栃木県足尾町などで制作を行っている。また、1991年から1993年にかけては、日本とイギリスとの「2つの秋展」のためイギリスのスコットランド地方のベン・ネヴィス山と富士山麓において制作を行っている。その際、日本での制作に彼が出した条件は以下のようなものである。
「海辺と山で作業するにあたり、アンディと助手は寝室と仕事場が 必要。仕事場は明るく、少なくと14帖の大きさで、通うのに便 利であること。宿泊場所は仕事場があるところから1.6km以内。
 1)海岸地区:砂、小石、岩がある海岸で、高い崖がないことまたいきやすいこと。小川が海に流れ込んでいるところであれば理想的。
2)山林地区:針葉樹の植林地ではなく。また新木ではなく古木の森がある。高地では雪や氷の可能性があること。
この条件に示してあるように、ある場所に赴きある期間滞在して、そこの自然を徘徊しながら、その中で自然と関わりながら作品を制作する「アーティスト・イン・レジデンス」の作家である彼にとって制作の場である自然環境の特徴が、彼の作品を成立させる大変重要な要素であるといえる。よって彼は、日本での制作後に
「まず第一に、その土地が私の創るものを決定する。日本の自然に は深い影響を及ぼす特質が明らかに存在している。」
と述べている。
 この第1項においては、ゴールズワージが日本において創るものを決定し、制作を通して深く影響を受けた場所にはどのような特徴が見出されるのか、また、そこの自然から何を学ぼうとしたのかについて、日本での制作のために出した条件と制作場所の地理情報等を参考に考察してみたい。
(1)ゴールズワージと森  
ゴールズワージが日本で制作した場所(大内山村・紀伊長島町、福井県和泉村、栃木県足尾町・富士山麓)はすべて紅葉の美しい場所である。彼は森の条件として古木の森としている。
彼はそこで何を見出したのか。
「日本の紅葉を遠くから見ると素晴らしい、その美しい色に感動して近づくと、もうその色は消えてしまっているのです。それは蜃気楼のようにいつも遠くにあるのです。」
彼は、森で紅葉の葉の持つ魅力を感じ取り、紅葉の葉が自己主張の特異な存在ではなく、全体の中にあることでその存在価値が増幅していること、そして、それによって風景全体が調和していることを見出したのである。
さらに、楓の赤については、こうも述べている
「赤く紅葉した楓の木が山の中にポツンとある様は、まるで開いた 傷のようだ。このコントラストがエネルギーと力をもたらし、そ して、私は日本が赤という色の魂の故郷のように思える。」*15
 この古木の森という自然環境は、彼にとって、そのエネルギーと力を感じ取り、それを表現することで、その場を理解する要素が多く存在していると考える。すなわち、自然のエネルギーがあふれる場なのである。
では、古木の森のどのような要素が彼がその場を理解する条件になっているのであろうか。
①楓に象徴されるような色 鮮やかな多くの色が存在 する。またそれが季節に よって多様に変化してゆ く。それが美しいコント ラストを生む。
②様々な木が高さを変えて生きている。そのことにより多くの種類 の形が葉っぱ、枝、として存在する。その形の組み合わせが新し い形を生む。
③生きたにおいが存在する。それは、芽吹くにおい、腐葉土として 発酵するにおい、実を食べに来る動物のにおいなどである。それ は、古木の森のいろいろな生き物の繋がりを示す。
④生きた音がある。生き物の鳴き声、風による小枝がすれる音。すべての音が森が生きていることを示す。
⑤豊かな土がある。この土は多くの意味を持っている。葉が腐り次の世代に託す栄養を蓄えるものであり、森に降った雨を蓄えると ころでもある。ゴールズワージにとっても大切な接着剤である。
⑥豊かな水を生む。広葉樹林は、針葉樹林にくらべ豊かな水をつくる。この水があるからこそ彼の作品は豊かな展開をしているとい ってよい。
⑦様々な石が水の力により生まれ存在している。この石は、彼にとって葉などを張り付ける重要なベースとなるとともに、エネルギ ーの変化を感じ取る要素にもなっている。
⑧豊かで、気まぐれな光の変化が存在する。森は山にある。そこの気象変化は細やかである。しかしながら、降り注ぐ光の表情は豊 かで魅力的である.
古木の森は、時の移ろいにしたが
い、様々な形・色・音・光・におい等を生む、そしてそれらは時にしたがいはかなく、潔く去ってゆく。森は、生き物の時を積みかねた場所なのである。
ゴールズワージは、「私の芸術は、「時」という言葉ですべて表されるでしょう。と述べている。よって、森という生き物の時を積み重ねた場所に、自らの生きる時を制作という形で重ねて、「時」を中心とした作品を作りだしているといえる。
 森という場所は、様々な生き物の時を取り込み制作する作家が、自らも生き物の「時」の積み重ねによって生きているのだといことを発見できる、また、自然環境と「時」を通して一体化できる場所なのである。

つづく
# by kazukunfamily | 2012-05-20 16:57 | 博士課程 | Trackback | Comments(0)
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