自己調整学習サイクルとプログラミング教育及び造形活動の学習主題
2025年 03月 11日「手引き第3版」に示してあるプログラミング的思考を発揮してコンピュータに自分が考える動作をさせるプログラミング活動のプロセス1)と,自己調整学習サイクルとの関係性を整理してみると下の様になった。

この表を見ると,例えば①の「コンピュータにどのような動きをさせたいのか」は「内発的興味」に,「動きを
続いて「造形活動の学習主題の展開」であるが,これは辻田が子どもの遊びに着目して活動を喚起し,造形への興味や関心,期待感を抱かせ誘発する要因を捉え抽出し,それらをまとめ造形的な側面を検討すると「造形的な材料(メディア),造形的な手法(コード),造形的な想像(イメージ)」を子どもの側から設定できるとしたものである。そして「材料の活用」,「想の拡充」,「行為の展開」の内容の学習主題は,この3側面にウエイトをおいて設定でき,学習や造形活動の基調や軸に活用できるとしている2)。筆者は,この造形活動の学習主題とプログラミング教育との関係性について,先行研究「学習主題の研究」においてコンピュテーショナル・ピュテーショナル・シンキングを構成する5要素「抽象化・デコンポジション・アルゴリズム的思考・評価・一般化」3)との接点を次のように整理している。
3:森山潤,2019,「第2章 プログラミング的思考とコンピュテーショナル・シンキング」,『小・中・高等学校でのプログラミング教育実践-問題解決を目的とした理論的思考力の育成-』,日本産業技術教育学会,p.26
まず「抽象化・デコンポジション・アルゴリズム的思考・評価・一般化」と先のコンピュータを動作させるための手順に照らし合わせると,表3の①②は問題を単純化するため重要な部分は残し,不要な詳細は削除するという「抽象化」のプロセスに,③は問題や事象を幾つかの部分に理解や解決できるように分解する「デコンポジション」に,④は問題を解決するための明確な手順で同様の問題に共通して利用する「アルゴリズム的思考」に,⑤はアルゴリズムの手順等の解決方法が正しいか,確認する過程である「評価」に,さらに,その「評価」の類似性からパターンを見つけ,それを予測,規則の作成,問題解決に使用する「一般化」に通じていると思われる。
そして先の表1の自己調整学習とプログラミング活動の関係性に,上記の「抽象化・デコンポジション・アルゴリズム的思考・評価・一般化」を仲立ちにして,造形活動の学習主題との接点を整理すると下図のようになった。その関係性を整理すると次の様になった。

○「材料の活用」:材料に親しみ,挑み生かしながら行う造形活動では材料に触れ,その形・色・機能等を分解・分析し発見を魅力や問題を抽出する「デコンポジション」が展開される。これを通して児童は材料をどのように,どの順番で動かしたいのか「目標設定」,「方略プランニング」を図っていき,さらに材料から抽出した魅力等が学習の動機=「内発的興味」等を高めていると思われる。以上のことから「材料の活用」は「計画段階」との関係が深いと考えられる。
○「想の拡充」:発想や構想を広げたり深めたりする造形活動の中で行われる「抽象化」では,抽出した問題等を学習に使える部分と削除する部分に選別する単純化が行われる。この単純化は,「遂行段階」での材料をどの様に
○「行為の展開」:表し方を発見し工夫をしながら熱心に造形活動の「熱心さ」は,「遂行段階」の「意見の集中」に通じる。また「表し方を発見し工夫する」に関連する「アルゴリズム的思考・評価」等は,活動から改善点をイメージし,そのやり方を探る「イメージ」,「自己指導」等との接点が見出せる。以上のことから「行為の展開」は「遂行段階」と関係が深いと考えられる。
自己調整学習サイクルとは
2024年 11月 21日自己調整学習サイクルとは
自己調整についてはZimmermanの下記の説明がその定義とされている。
「学習者が学習過程に,メタ認知,動機付け,行動に積極的に関与する学習である。」1)
そして伊藤崇達は相互に関わりを持ちながら自己調整学習を支えている要素として,Zimmermanは「自己調整学習方略」,「自己効力感」,「目標への関与」を挙げていることを紹介し,その関係を学業上の目標の達成に向け,自己調整学習方略を適用し,その結果として遂行レベルが高まれば,自己効力感が高まるとする2)。
*伊藤崇達,2012,「自己調整学習方略とメタ認知」『自己調整学習-理論と実践の新たな展開へ-』,北大路書房,p.6,原書は,Zimmerman, (1989)
本研究においてもプログラミング教育に造形活動の学習主題を取り入れることで自己調整学習が高まったかをどうかを見とる視点として「自己効力感」に着目する。
続いてZimmermanは,学習を身体的(認知的と情動的),行動的,文脈的要素を含む多次元の過程とみている。そして学習スキルに習熟するには,学習者は文脈的に関係のある場面の課題に対して認知的方略を行動の上で使用しなくてはならないとし,そのため学習は繰り返しの試行を必要としているとする 3)。
*Barry J.Zimmerman,2007,「学習調整の自己成就サイクルを形成すること:典型的指導モデルの分析」,『自己調整学習の実践』,北大路書房,P.2
また,彼は学習には以下の内容の3つの主要な段階,「計画,遂行あるいは意志的制御,自己内省」が生じる循環型の学習者サイクル活動が必要としている。
○「計画段階」:学習しようとする取り組みに先行し,学習の場面を設定する有力な過程であり信念である。学習の具体的な成果を決めること。
○「遂行あるいは意志的制御」:学習の取り組みの際に生じ集中と遂行に作用する過程。これらの過程は学習者が課題に集中し,遂行の最適化をすることを促進する。
○「自己内省」:学習の取り組みの後で生じ,その経験に対する学習者の反応に影響する過程。次の学習の取り組みの計画の影響する 4)。
*前掲書,Zimmerman(2007),pp.2-3
上図5)は,その学習サイクルの段階を図示し,下位過程を関係づけたものである。
*前掲書,Zimmerman(2007),p.3
また下表はその各下位過程の内容をZimmermanの説明を参照に整理したものである。6)
*前掲書,Zimmerman(2007),pp.3-6
この学習サイクルは,研究者や翻訳の違いにより,「内省」が「省察」に変わったりしている。そこで本研究では,深化前であるが教育現場のカリキュラム開発の際に理解されやすい「計画」「遂行」「自己内省」でプログラミング教育や造形活動との接点を整理していく。









