博論の片隅 モータリゼーションの進展による環境負荷等の影響

ア モータリゼーションの進展による環境負荷等の影響
  運輸部門からの二酸化炭素排出量は、平成19年度(2007年度)において2億4,900万
 トン(総排出量の19.1%%)となっており、京都議定書の規定による基準年の1990年比
 で14.6%増加している。このうち、貨物は基準年比で6.9%減っているにも関わらず、
 旅客は基準年比35.1%増加し、その旅客の内、自家用乗用車からの排出量は基準年比 
 41.9%も増加している。
  日本では、ここ30年間で、自動車保有台数は約7,700万 台と約4倍、運転免許保
有者数は約7,900万人と約2倍 に著しく増えている。
   姫路市においても同様で、昭和58年(1981年)から平 成18年(2006年)の25年 間で自動車保有台数は、約 1.85倍の84,087台増加している。
これは、モータリゼーションの進展により、自家用車が徒歩や公共交通を代替しただけではなく、中心部にあった商店や住宅の周辺部への拡散によって広域的な移動が必要になったからと思われる。事実、2006年度一般道路平日昼間12時間交通量調査において姫路市を東西に結ぶ国道2号(姫路バイパス)は、全国4位の交通量(91,143台)であり、休日でも全国の5位(70,699台)の交
 通量である53)。これは、姫路の住民にとって、宅地の郊外化や市役所や病院などの公
 共施設の郊外への移転、さらには市南部のバイパス沿いに大規模商業施設ができたこと
 により、自動車を生活の足として利用することが必要不可欠になっていることを示して
 いる。
よって、ビルや住宅、商店が立ち並んでいる「人口集中地区」が中心部から郊外への
 拡散傾向が強い姫路市のような都市ほど住民の自動車依存率が高くなり、比例して自動
 車の保有台数は多くなる。結果、二酸化炭素排出量は増大する。
  また、この自家用車依存の傾向は人口減少が進展と相まって、本来、一度に多くの人
 を運び、自動車依存率を下げ、二酸化炭素排出量を減少させる公共交通機関の維持を難
 しくする。          
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表15 乗合バス事業務量の推移
  姫路市でも、乗合バスの乗車人員は、1964年度の年間1,951万8千人をピークに、昭和から平成になって表15のようにさらに減少傾向が厳しくなっている。ゆえに、2005年度からは「姫路市交通事業経営健全化計画」に基づく民間事業者への路線移譲、路線廃止などが実施しされ、事業規模が縮小されている。平成18年度版環境白書によると、人を一人を運ぶ時に排出する二酸化炭素の量を乗り物ごとに比較すると、自動車は鉄道の約9.1倍、乗り合いバスの約3.2倍の二酸化炭素を排出しており56)、環境効率の非常に悪い乗り物と考えられる。また、公共交通路線の廃止は、運転できない高齢者にとって、郊外に移転した病院や公共機関・商店車への移動を難しくし、健康に生活する権利が保証されない恐れがある。
  商店街の衰退の一因である「人口集中地区」の拡散は、モータリゼーションにへの依存を招き、結果、地球温暖化に繋がる二酸化炭素排出量の増加とともに、多量の石油ネルギーの消費を招くことに繋がる危険性をはらんでいる。
イ 小売等の延床面積の増加による環境負荷等の影響
  姫路市の小売り等の床面積は、1994年の605,239 ㎡から2007年の745,249㎡と増加し
 ている。ただ、表16が示すよう  
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表16 姫路市1994年から2007年の小売業の状況に、事業所数は同期間で1095減少している。よって、1事業所あたりの床面積は、1994年の約102㎡から2007年の約138㎡へ増加している。この数値は同期間に姫路市に大型のショッピングモールが建設され、変わって商店街等における小規模店舗が数多く閉鎖されたことを示している。事実、2号線バイパスと国道250線をはさんだ区域に1993年にジャスコ姫路リバーシティーショッピングセンター(飾磨区)ができたことを皮切りに、2004年には、ザ・モール姫路(広畑区)イオン姫路大津ショッピングセンター(大津区)等の大型ショッピングセンターが建設、営業を展開している。
  この小売・事務所等の延床面積が増加は、それに伴う空調・照明設備の増加、そして
 オフィスのOA 化の進展等により電力等の膨大なエネルギーを消費する。なぜなら、大型ショッピングセンターは365日営業し、場所によっては24時間、通常でも22 時までは営業している。その間、数万㎡もある全館を冷暖房しているのである。
この姫路のような小売業の大型ショッピングセンター化は全国に及び、2007年度の 業務その他部門(商業・サービス・事業所等)の二酸化炭素排出量は2億3,300 万トン であり、基準年(1990年)と比べると41.7%(6,850 万)増加している。
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by kazukunfamily | 2011-02-14 22:00 | 博士をめざす方へ

子どもと環境とアート教育の関わりを生かした図画工作科教育の実践的研究


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