環境教育の学習分野と美術教育

環境教育の学習分野と美術教育
 次に,環境教育の学習分野と美術教育との接点ついて考察する
(1)環境教育の4分野
 現在の環境教育は,従来の自然との関わりに偏った学習内容から,生活や地域を視野に入れた広義の教育への転換が図られている。よって,その内容や対象は非常に幅広く,現在では持続可能な社会の構築に関わるものは全て環境教育と見なされている。この広範囲に及ぶ環境教育を,阿部治は「自然系の環境教育」,「生活系の環境教育」,「地球系の環境教育」,「総合系の環境教育」の4分野に大別している。。 
そこで,この4分野と美術教育がどのような接点があるのか考察する。
(2)「自然系の環境教育」と美術教育
 自然系の環境教育とは「自然観察会や野外活動など地域における自然環境に関わる活動」53)と阿部は述べている。この自然環境に関わる活動として,造形遊びや野外における立体作品の制作等が考えられる(別表4「教科書における自然素材活用の教材」)。特に造形遊びは,校庭から野原や雑木林,森,河川敷,海岸等の身近な環境にある自然材をもとに活動を展開している。
 また,絵画の制作も自然系の環境教育へのアプローチできる可能性がある。岡田匡史は「静物画・風景画制作をエコロジカルな    
観点で捉え直すことが大事である。-略-自然に謙虚に対峙し表現することが美的感覚を高め,自然を愛する心情を養う上で重要であることを再確認したい」と,絵画制作を通して環境に関わる重要性を指摘している。確かに日常よく目にしている草花をじっくり観察し,絵に表現することは,季節や場所の違いによる自然の微妙な変化に気づくことになると思われる。
また,那賀貞彦も,環境教育としての風景画の可能性を認めている。ただ,彼の場合は,人間主義的な生活の風景ではなく,公害により壊死する都市風景や核による恐怖の風景,産業廃棄物や核廃棄物の風景など,地球環境のあらゆるハーパーリアルな風景を描くことを求めている。現代の環境破壊の現実をリアルに風景画として描かせることで,その現状を読み取らせようとしている。  
このように,美術教育で造形遊びや風景画を制作等を行うことは,それ自体が環境に関わる活動となり,加えて,自然環境の現状を読み取る感性や,自然を大切にしようする心情を育むと思われる。
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by kazukunfamily | 2011-03-08 21:35 | 博士をめざす方へ

子どもと環境とアート教育の関わりを生かした図画工作科教育の実践的研究


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