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比較に基づく鑑賞活動

1 比較鑑賞の目指す児童の姿
 ・自分の良さや美しさを捉える感性に基づいて自由な鑑賞、自分なりの鑑賞ができる。
 ・作者の生きた時代や生き方にもふれながら、さまざまなことを関連づけながら、自分  なりの批評ができる

2 作品の選定と観点
  比較鑑賞するので作品は、相違点が見つけやすくさせるために、似たモチーフを描い たものを選んだ。今回は鳥である。それぞれの作品については以下の通りである。
*「大家族」ルネ・マグリッド 1963年
 独特な空色や鳩や岩、そして、海が何かを象徴しているように見える作品である。し かし、本人は「私の絵に、何かの象徴を探してほしくない」と語っており、この作品に ついても、「頭に浮かんだ詩的なイメージを形にしただけ、描かれたものは、その形や 色以上の意味はない」と述べている。しかし、不思議な画面に発想がひろがる。
 (高橋郁男「大家族」『世界名画の旅』朝日新聞、1986 年p27)
*「飛翔」アンドリュー・ワイエス 1950年
ワイエスのわずかな地所であるペンシルヴァニアの丘を飛ぶヒメコンドルの風景は、 彼の数多くの作品に出てくる家と相まって、作品の雰囲気を盛り上げる。コンドルはこ の世に戻ってきた魂を象徴している。その魂が旋回しながら、そこに住む人々や人間関 係、日常生活を反映ししている家・丘を観察している。
(リチャード・メリマン「アンドリュー・ワイエス」同朋舎、1992年、p54)
独自の表現を模索した作家の鳥について、共通点や違い、周りの風景との関わりを考 えさせたり、自分ならどちらの鳥になりたいか考えることで、作品を深く味わうととも に、自分なりに作品のもつ良さや美しさをつかむ、鑑賞のものさしをもってほしいと考 える。
発問は以下のようにおこなう。
*まず、鳥を切り抜いたシートを渡す。
①それぞれに、飛んでいる想像して描いてみよう。
②どんな鳥だろう。
*鳥が描かれた絵を見せる。
③相違点は何だろう
④飛んでいる様子から受ける印象はどうだろう
⑤自分なら、どちらの鳥になりたいだろう。その理由は
*発展として
⑥鳥になって飛びたい風景(鳥になった自分も描こう)

3 授業の展開
①作品の観察 描かれたモチーフについて考察
         前半 鳥を切り抜いた絵・・シート
後半 鳥が描かれた絵・・・黒板
 ②観点にそって観察・比較する
③観点にそって意見交換
②鳥になって飛びたい風景を線描する
発問
「飛んでいる鳥を想像しよう」
大 家 族・・・鳩 白い鳩 ポケット鳥 不思議な国で生まれて面白い姿に変身できる鳥 水玉鳥 
飛 翔・・・・・・とんび 鷲 円の鳥 マーク鳥 苦しんでいた生活から解放されて自由に大空を飛んでいる
「同じところは?」
暗いところ  少しくらい  鳥が飛んでいるところ
あまり明るくない  鳥が翼を広げているところ
どっちも人がいない 空が見えるところ しっぽが同じ
くちばしがある 顔の形  鳥類
「違うところは」
大 家 族・・・海があって暗い 鳥が大きい 頭の形 明るい鳥 鳥の形 海がある 大地がない 1匹 体が空 
空が曇っている 旅立ちする時のような飛び方
飛 翔・・・・・・空が晴れていて、下に丘と家がある 羽 鳥の数が違う 砂漠がある 毛の生え方  鳥が暗い 大地がある 見た目は普通の鳥 羽が広がっている 鳥の羽が細かい 風に身を任せている
「飛んでいる様子から受ける印象」
大 家 族・・・暗い ・飛び立つ瞬間なので頑張ろうとしている様子 ・明るい、ぼーっとした感じ ・気持ちのオーラを出している ・体は明るいが自由でない ・危なそう ・今にも飛び出そうとしている ・用事がありそう ・なかなか飛べないでいる ・空は暗いがさわやかな感じ ・ゆっくり今飛びだそうとしている
飛 翔・・・・・・・明るい ・風にのって「僕は自由だ」という気 持ちが伝わる ・暗い、風に乗っている ・今から自由に空を舞って、自分の世 界を作っていく ・色は少し暗いが3匹一緒で楽しそう ・気持ちよさそう ・悠々と気持ちよさそうに3羽飛んでいる ・どこかに行くのかもしれない ・優雅にとんでいる ・どこまでも飛んでいけるぞ ・風に乗ってゆうゆう飛んでいる
「どちらの鳥になってみたいか?」
大 家 族・・・・色が綺麗でかわいい ・大きく羽ばたいている ・晴れていて、暖かそう ・広いところでとんでいて楽しそう ・鳥自身は明るいから、楽しい人生
飛 翔・・・・・・・・勇気があって仲間といるから ・いっぱい飛べる ・強そう ・広いところで飛んでいて楽しそう
・鳩より悩んでいない風で飛んでいる ・仲間がいて自由な感じ
4 さらなる鑑賞の充実を求めて
最初に、鳥の部分を白く塗りつぶしたシートを用意し、自分で描かれている鳥を予想させ、鳥への関心と、自分のイメージと作者の鳥とのギャップ、さらには、両者の鳥の描かれかたの違いに目を向けさせることをねらった。このことにより、特にジョージ・シーガルの鳥の描写の緻密さに子どもの関心が向いたと思われる。
 ただ、中・終盤の「どちらの鳥になりたい」という所で話し合いをもう充実させるのであれば、この鳥を予想する部分は削り、最初から両者の絵をじっくり見させてもよかった思われる。
 授業後、子どものシートを整理していて、絵から受ける印象で「大家族」に対して、「明るいが自由でない」などの意見があった、これに授業中に気づき、もっと広げてもよかったのではないかと反省する。
 また、まとめとして、同じ鳥を描いても、多様な表現方法が可能であることを、もう少しおさえておいてもよかったと考える。
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by kazukunfamily | 2012-03-25 23:20 | 教授の図工実践

子どもと環境とアート教育の関わりを生かした図画工作科教育の実践的研究


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